prologue

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夢を見ていた。 それは、子供の頃の自分。 どこともわからない場所。 そこで彼は、無人の祠〔ほこら〕の中にいた。 何故かはわからない。 ただ誰かに呼ばれた気がした。 人ではない《何か》に。 だから彼は此処にいるのだろう。 祠の中には色々な種族の魔物がたくさんいた。 だが、どんな魔物も彼を襲おうとはしなかった。 否、襲おうとする奴もいたのだろう。だが、まるで強力な結界に阻まれているかのように彼に近づくことはできなかった。 彼はやはり《何か》に導かれるようにして、祠の最深部に到着した。 そこは空洞になっていて、丁度中心には剣が地面に刺さっていた。 その剣には札のようなものが幾つも貼られており、その剣を中心としてルーン。つまり魔法陣が描かれていた。 「そうか。俺はあれに呼ばれていたのか。」 彼はそう独り言を呟きながら剣の柄に手を伸ばした。 その時 彼は背後から自分を凝視するような視線と気配を感じた。  バッ という効果音が聞こえそうな勢いで背後に振り返ったが、なにもいない。 もう一度柄に手を伸ばすと、まためや背後から先程と同じ視線と気配を感じた。 そして同じように振り返ろうとすると背後から声がした。 「君が選ばれた者か。」 冷たい、凍りつくような声がする。
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