プロローグ

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ここは、マリージョワ王国の5大貴族の 1つ“レバノン家”の屋敷。 そこにある立派な部屋の前で、今か今かと行ったり来たり、を繰り返す男がいる。 ・・・とそこで男を呼ぶ声が聞こえる。 「ダグラス様お産まれになりました! 珠のような男の子ですよ!!」 侍女の言葉に、ダグラスと呼ばれた男性は、大きな声を出す。 「おおっ!そうか産まれたか!!」 とすぐさま部屋に入る、この屋敷の主人であり、レバノン家当主ダグラス。 そして足早にキングサイズのベッドに近付く。 「よくがんばったな、メリー」 ベッドに横たわる妻のメリーの頬を、優しく撫でるダグラス。 体力を使い、疲れはてているが笑顔で頷くメリー。 「こちらが御子様でございます!」 と赤ん坊を慎重に手渡す侍女。 「おおっ、これが私たちの子供かメリー」 ベッドで幸せそうにほほえみ、妻のメリーの方を再び見るダグラス。 「ふふ、最初にこの子の名前を、呼んであげて下さい。」 メリーはダグラスの眼を見て、優しく言う。 「う、うむっ!私が父親のダグラスだ “アルル”・・・。」  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 「・・・将来、この子がこの家を継ぐんですね。」 「そうだな、このレバノン家はこの子が継ぐんだ。」 赤子に視線を落とし、呟いたメリーの言葉に、ダグラスも赤子へと視線を向ける。 この国、『マリージョワ』には、家柄による階級がある。 頂点に立つのが王族。 その下に、五大貴族、上流貴族、中流貴族、下流貴族、そして一般国民と言った感じだ。 そして今、妻のメリーとの間に産まれた赤子こそが、いずれ“レバノン家”を継ぐであろう長男である。 「元気に育ってくれ。」 そんなダグラスの言葉に、答えるかのように、赤子はにこやかに、ほほえむのであった・・・・・。
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