2362人が本棚に入れています
本棚に追加
ここは、マリージョワ王国の5大貴族の
1つ“レバノン家”の屋敷。
そこにある立派な部屋の前で、今か今かと行ったり来たり、を繰り返す男がいる。
・・・とそこで男を呼ぶ声が聞こえる。
「ダグラス様お産まれになりました!
珠のような男の子ですよ!!」
侍女の言葉に、ダグラスと呼ばれた男性は、大きな声を出す。
「おおっ!そうか産まれたか!!」
とすぐさま部屋に入る、この屋敷の主人であり、レバノン家当主ダグラス。
そして足早にキングサイズのベッドに近付く。
「よくがんばったな、メリー」
ベッドに横たわる妻のメリーの頬を、優しく撫でるダグラス。
体力を使い、疲れはてているが笑顔で頷くメリー。
「こちらが御子様でございます!」
と赤ん坊を慎重に手渡す侍女。
「おおっ、これが私たちの子供かメリー」
ベッドで幸せそうにほほえみ、妻のメリーの方を再び見るダグラス。
「ふふ、最初にこの子の名前を、呼んであげて下さい。」
メリーはダグラスの眼を見て、優しく言う。
「う、うむっ!私が父親のダグラスだ
“アルル”・・・。」
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「・・・将来、この子がこの家を継ぐんですね。」
「そうだな、このレバノン家はこの子が継ぐんだ。」
赤子に視線を落とし、呟いたメリーの言葉に、ダグラスも赤子へと視線を向ける。
この国、『マリージョワ』には、家柄による階級がある。
頂点に立つのが王族。
その下に、五大貴族、上流貴族、中流貴族、下流貴族、そして一般国民と言った感じだ。
そして今、妻のメリーとの間に産まれた赤子こそが、いずれ“レバノン家”を継ぐであろう長男である。
「元気に育ってくれ。」
そんなダグラスの言葉に、答えるかのように、赤子はにこやかに、ほほえむのであった・・・・・。
最初のコメントを投稿しよう!