プロローグ

3/11
前へ
/230ページ
次へ
アルルが2歳なった頃、また新たな生命が誕生した。 「ねぇサヤさん、いもーとって何?」 周りを緑多き木で囲まれた、公園のような庭で侍女と砂遊びをするアルルは侍女に話しかける。 「それは、アルル様の次にお産まれになった、奥様と旦那様との御子様で、性別が女性のことを、示す言葉でございますよ。」 サヤと呼ばれた優しそうな顔のおばあさん侍女は、諭すようにアルルに答える。 「ん~~よく分かんないや」 まだ、小さいアルルには難しかったようだ。 侍女は妹の説明を止め、心得を伝えることにする。 「妹のアリス様のことを、兄であるアルル様は、守ってやらねばなりません。今はこれだけは、ご理解ください。」 侍女の言葉を本当に理解できたのかわからないが、アルルは侍女の眼をしっかりと見て答える。 「守る・・・うん!僕がぜーたい アリスを守るよー!」 その答えに、満面の笑みを浮かべる侍女のサヤ。 侍女はアルルの手を繋いで、立ち上がらせて言う。 「さぁ、奥様の所へ行きましょうアルル様・・・・。」 そして2人は今頃生まれたであろう、妹の元へ行くのである。  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ それからさらに5年後、屋敷の中では知らない人がいないほど、アルルとアリスの仲は良かった。 「兄様、兄様、アリスは兄様と結婚する~」 アリスはアルルと一緒に、お人形遊びをしながら、無邪気な笑顔で言う。 対するアルルは・・・・ 「アリス・・・もちろんだとも!!」 妹ラブであった。 2人の仲はこう言った具合である。 “今は子供だから”で片付けられるが・・・・・ ・・・・・将来が少し不安である。
/230ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2362人が本棚に入れています
本棚に追加