君は俺 俺は君

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「…闇?」 「ああ。こいつの心は病んでいる。そうだろう、折原臨也」 俺の心を見透かすように、折原臨也は唇の端をつり上げて笑った。そして、俺も笑った。バカらしくて、笑えた。 「俺が病んでいる?バカじゃないの。俺をそのへんにいる精神異常者と一緒にしないでよ。あんな心の弱い奴らみたいにすぐ病んだり、リスカしたりしないよ。」 「…で、どうするんだ?」 シズちゃんの冷静な言葉に、俺はポケットに手を突っ込み目の前の折原臨也を見た。新羅は気付いたようだったけど、俺が目線を送ると何も言わず話をただ聞いていた。 「こうするんだよ」 折原臨也は俺がなにをするのか解らず、首を傾げていた。そりゃわからないよな。お前の"悪"の部分は全て俺が吸収したんだから。 俺は折原臨也に近づくと折り畳み式ナイフを取りだし彼の胸に刺した。 「さようなら」 「かは…っ!!」 俺の行動に二人は驚いたのか、シズちゃんは俺からナイフを奪って殴り、新羅は折原臨也の傷を見ていた。 「何してんだよ、手前」 「何でキレるの?ただ、自分自身を殺しただけだよ。罪にはならない」 「…そういうことじゃねぇんだよ…っ!」 しばらく痛がっていた折原臨也だが、新羅が治療しようと治療道具を持ってきたとき折原臨也は永遠の眠りにつき服だけを残して、光となり消えた。 「…奴は、人間じゃなかったのか」 「そうみたいだ。」 さっき思い出した折原臨也との昔の約束、それは単純で綺麗なものだった。 「"優しい、人間になって"か…。もう無理だよ」 「…それ、ヤツとの約束か?」 「ああ。いきなり思い出してね。」 「なれるだろ、ノミ蟲なら。」 そんな普段と違うシズちゃんの優しい言葉に俺はつい笑った。その言葉に反吐が出そうだった。 「なに言ってんの。もう無理だよ。こんな反吐が出るような性格になっちゃったし。」 多分シズちゃんがあんな言葉をかけたのは同情。それほど俺は彼の目から弱って見えたのか、その辺りは謎だった。
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