『相談事があるんだが…』

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とある池袋の昼下がり、俺は財布と数台の携帯と共に池袋の高級マンションに引っ越してきた。引っ越してきた理由は一つ、次の仕事をするのに池袋に滞在したほうが効率がいいからだ。成功率と同時に命の危険も上がるけど。 先に送っといた荷物を片付け、パソコン三台をネット回線に繋げてから、少し遅い昼飯をとった。いつもは波江がいたから手料理がたべられたが、今日から新宿に帰るまで自分一人。寂しいという訳でもないが、何か違和感がある。 ちなみに波江には新宿の家を任せるよう言ってきた。この仕事が終わったら戻るし。 冷蔵庫の中を除くと予想通りすっからかんなのでスーパーに向かうことにした。夕飯の用意と、情報集めも兼ねて。 奴に出会わないといいけど。 「静雄?」 バーテン服の男、平和島静雄は視界の隅にはいり、横切った黒のコートの奴が行った方向を見ていた。 「あ、すみません。」 「どうした?」 「いや…、ノミ蟲がいたような気がして…」 静雄の上司田中トムも静雄が向いている方向へ身体ごと向けた。 「ま、奴も昼間過ぎからいないよな…。」 「折原臨也なら今頃新宿でクーラーにあたってるんじゃないか?」 そう言った田中トムの視界に、真夏なのにファーのついた黒のコートを着ている黒髪の眉目秀麗の男を見つけた。顔からして折原臨也を見つけたトムは此処から去らないと自販機やガードレールが犠牲となることを悟るととりあえず此処から去ることを決意した。 「し、静雄。次行こうか」 「すみません、後ちょっとだけ待ってください」 静雄の奴も気づいたらしく、折原臨也のほうを見るとスーパーの袋を持ってこっちへ来ようとしている臨也を確認した。臨也は静雄の姿を確認すると踵を返して去っていった。 もちろん、静雄がそれに気づかない訳もなく 「いぃざぁやぁぁぁ!!!!」 折原臨也を見つけると走り去っていった。
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