足音

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夢だ。 これは夢なんだ。 悪夢を見て、飛び起きた私が夢の中と同じ出来事を経験している。 どこかのありきたりな小説のようなオチの夢。 そうに違いない。 ひたひた ひたひた 必死で自分に暗示をかけ、足音が聞こえないように耳をふさぐ。 ひたひた…… ひたひた…… くぐもって聞こえる足音。 近づいて来る。 ひたひた…… ひたひた…… ぴたり、と足音が止まった。 ちょうど、私の部屋のドアの前で。 寝る前に、何故部屋に鍵をかけておかなかったのかと、過去の自分を責める。 がちゃり きぃ…… 古く、錆びた蝶番の耳障りな音を立てながら、ドアはゆっくりと開きはじめる。 きぃー……
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