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「……うっ……うぇ……おじさん……」
「まっ……麻衣?どうしたんだ」
ドアを開けて入ってきたのは、四歳になる姪の麻衣だった。
大きなウサギのぬいぐるみを、変形するほど強く抱きしめている。
―――そうだ、今日は姉夫婦を泊めていたんだ。
強烈な安堵感に包まれる。
泣いている麻衣に慌てて駆け寄った。
「どうしたんだ、麻衣。こんな夜中に」
「……うぅ……といれ、わかんない……」
「トイレか。よしよし、おじさんが一緒に行ってあげるから泣くな」
「うん……」
鼻をずるずる啜り、ぬいぐるみで涙を拭いている麻衣。
トイレで用を済ますと、落ち着いたのか泣き止んだ。
姉夫婦の部屋に送るために、手を繋いで廊下を麻衣と歩いていると、裸足の麻衣はひたひたと足音がする。
先程の私はこんなものに怯えていたのか。
思わず失笑する。
不意に麻衣がこちらを見上げてきた。
「ねぇおじさん」
「なんだ、麻衣」
麻衣は不思議そうに、言った。
『おじさんの部屋にいた女の子、だぁれ?』
→あとがきへ
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