739人が本棚に入れています
本棚に追加
/353ページ
思いきりうーんと伸びをしてから、息をついた。
清々しい朝だ。
ん? ……朝?
「ねえ、この国って夜あるの?」
ふと、この国で夕暮れや夜景を見たことない気がして振り返ると、相談していたらしい三人が一斉にくるっとこちらを見た。
「勿論、あるに決まってるよ! 昨夜もその前も、アリス疲れてぐっすり寝てたから暗くなったとこ見てないのかも」
帽子屋が無邪気に言い、レンゲがうんうんと頷いた。
「夜はあるわ。夕方はないけど」
「えっ、ないの?」
思わずぎょっとして尋ねると、帽子屋がきょとんと首を傾げた。
「アリス、知らないの?」
「知らないも何も、普通はあるものでしょ?」
それに応えるようにルリ君がすっと天を指差した。
「……太陽が、ないから」
言われて天を仰ぐと、快晴にも関わらずそこに太陽はなかった。
なんで太陽がないのに明るいのか、かなり疑問だ。
最初のコメントを投稿しよう!