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帽子屋の喜びの感情を表す時の癖なのだろう。嬉しそうに跳び跳ねてから、思い出したように口を開いた。
「そうそう、アリス! 僕ら、近々お茶会するんだ! よかったら、アリスも来てよ!」
言いながら、差し出してきたのは招待状らしい。
受け取って見ると、悪いけどとにかく字が読みにくい。
帽子屋が書いたのだろうか……頑張った感は溢れてるけど。
そこには『お茶会 ご一緒しませんか? 場所:公園 日時:満月の夜 帽子屋主催』と書いてあった。
突っ込みどころ満載だけど……とりあえず、なるべく質問は減らしてから聞こう。
「場所って、『公園』だけじゃどこの公園かわからないんじゃ?」
「アリス。この国には公園は一つしかないわ」
「そうなの?」
レンゲに視線を向けると、帽子屋が答えた。
「うん、お城の側にあるよ! 僕は先に行って準備してるから、アリスも後から来てね?」
だけど、私急がなきゃいけないんじゃ……? お姫様が誘拐されるって、国の一大事じゃないの?
「アリス」
ルリ君がそっと耳打ちした。
「……行きたかったら、寄ってもいいよ」
……そういうもんなんだ……。
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