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「俺、実際こんな奴。
付き合っていくうちに、いろんなことが分かってきて、嫌な部分も見えてくると思う」
「うん…
私も」
「こんなに好きになった奴、今までいなかった」
そう言われて、いっきに顔が熱くなるのが自分で分かる
赤くなった顔を隠すようにそっぽを向くと、それにお構い無く話を続ける
「マジで、大切にするから」
呼吸するのが苦しいぐらい、ぎゅっと抱き締められ、私の耳元で好きだ、と囁かれた
「そんなことをさらって言う人だと思わなかった」
「うん。
好きな人の前だけ」
翔はクスッと笑い、身体を引き離す
そして、良い?と伺うように私の目をじっと見つめてくる
コクンと小さく頷き、チラリと翔を見る
翔は片方だけ口端を上げると顔をゆっくり近づいてきた
私は早鐘のように鼓動を打つ胸を押さえながら、目を閉じ、その時を待った
翔の髪が私のおでこを掠め、それと同時に唇が重なる
甘くて長いキス…
あの夏に出会った私たち
それは偶然
あの春、再会した私たち
それは運命
これから私の隣には運命の人がいる…
fin*2012.3.5
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