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七生が柾斗達に付いたのは
「浅見様」
「…秋か」
秋が浅見に付いたから。
「どうした?」
「いえ。ただ近くまで来ましたので、ご挨拶をと思って訪ねて来た所存です」
「…それは本当か?」
「はい。もちろん」
「では…
私が貴様らの大切な駒と接触してしまった事は関係ないんだな?」
ピクッ
「………何の事でしょう?」
「ふん。相変わらずとぼけるんだな。
黒崎の分際で」
「…」
「あの子に何かしたかの確認で来たのだったら、取り越し苦労だったな。
これから本社に戻らなければいけないから、失礼するよ」
秋の横を通る時、
「私は手を下す事はしないよ。まぁ…
浅野はどうだか知らないがな」
と言って、通り過ぎた。
「………ふぅ」
どうやら、浅見様は言葉通り、
樋浦兄弟に何かする事はないみたいだ。
―――今は。
遊園地を出た後、向かった先は
「うわ~、綺麗だね」
「あぁ」
電車に乗り、夜景が綺麗と評判のある高台にやって来た。
評判ある所だからか、カップルや家族連れで賑わっていた。
「観覧車から見るのとはまた違うね」
「そうだな。まぁ…見ている余裕はなかったからな」
「っ?!」
柾斗の言葉の意味に気付き、
先程の事を思い出して
つい目を逸らしてしまった。
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