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―朝。
目が覚めると、いつもよりベッドが広かった。布団も頭までちゃんと被っていた。
しばらくして鳴った携帯の目覚ましは、アタシの好きな女性ボーカリストの声だけを何度も繰り返した。
シャワーの順番決めのじゃんけんも、最初にパーを出さないように気をつけることも必要ないんだ。
つられて食べるようになった朝食だけど、今朝は牛乳だけでいいかな。
…別にアタシはお腹すいて倒れたりしないもん。
背景まで写りこんだ鏡。その中で化粧するアタシは、少し…目が腫れていた。
―7時20分。
静まり返ったアパートの中にアタシの声が響いた。
『…いってきます』
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