12月24日 お昼時

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黒とのコントラストで映えるのは、アルの憧れる見事な銀色の髪。 何かを探し、紅いサファイアのような瞳できょろきょろ辺りを見回す彼女。 名前はマーシャ。 気が進まないハルの首を縦に降らすことができる、数少ない人物である。 《おおーーいっ! マーシャ!》 アルの声に気づき、安心した表情でハル達の方へ駆け寄るマーシャ。 こういう時、彼女を呼ぶのはアルの仕事だ。 彼女の声なら大多数は認識できない。 回りの注意を引かないことが重要だった。 外国人――――おそらく北欧系だろうが、彼女の容姿は無駄に人目にとまる。 いかにも映画に出てきそうな可愛らしい少女で、スクリーンから飛び出してきたような不思議な存在感があった。 それでもやはり一般人なので、注目されるのは苦手で上がり症持ち。 こういう場合、人間関係において大切なのは、いつの時代も思いやりの心なのである。 「おう、久しぶり」 立ち上がり、軽く手を挙げて挨拶するハル。 一日ちょっとぶりの再会だが、何日も会ってなかったような錯覚に襲われていた。 なんだ、寂しかったみたいじゃないか。 ついでに妙な敗北感にも襲われていたハルは、気のせいだと自分に言い聞かせている真っ最中である。 「…………」 マーシャが二人の前で立ち止まる。 たいした距離でもなかったので、息は上がっていないようだった。 「ええと…………」 《うん?》 「…………二人共、お疲れ様でした」 「…………ありがと」 《わたしはほとんど何もしてないけどね》
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