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「けほっ、けほっ」
「はっはっはっ」
咽せるマーシャと爆笑するハル。
二人が選んだのは石窯で焼くピザが売りの、ちょっと洒落たレストランだった。
注文したのは四種のチーズを使った特性ピザ。
あとはマーシャがミートソースのパスタ、ハルがナスとモッツァレラチーズのトマトパスタを頼み、二人で分けながら遅めのランチを楽しんでいた。
途中、タバスコがどばっとピザに降り注いでしまったが、二人っきりの食事においてこういうアクシデントは悪くない。
会話が弾む。
ちなみにアルはシアターに直行した。
ちょうど見たかった映画をやってるそうな。
「ほら、それは俺がもらうから、そっちのあんまりタバスコかかってない方にしとけって」
「い、いえ、結構です。 私がこんなにしたんですから」
「中蓋がなかったんだ。 気にすんな、誰も悪くないって。 俺は辛いの大丈夫だし……んじゃ、もらうな」
「あっ…………ありがとうございます」
食べかけの真っ赤なピザを持っていくハル。
これくらい強引な方がいいというのが、長年彩夏やアルと暮らして彼が学んだ知恵の一つだった。
「そろそろデザート頼んどくか」
「でしたら、このティラミスはどうです? クラスの子が美味しかったと」
「ティラミスなぁ。 期間限定のジェラートも気になるし……両方頼んで分けるか?」
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