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「そうですね。 色々味見してみたいですし」
「よし。 あっ、ちょっとすいません」
通りかかった店員を捕まえ、ちゃちゃっと注文を済ませる。
店に入ってもうすぐ小一時間。
上映時間からしてデザートを食べ終えシアターに向かえば、うまくアルを拾えるだろう。
「そういえば」
「ん?」
「本日から冬季休業ですけど、今のところ何かご予定は?」
「どこかで一回、遠出しようかなって考えてるくらいだよ。 お前は? 大学はAO入試で決まったって言ってたよな」
「はい。 でもどこかは知りませんよね?」
「なんだその得意顔。 そりゃ当然だろ。 教えてもらってないし……ん、絶対訊いてやるもんか」
ハルはマンゴー味の飲む酢を飲みながら、小学生のように目して顔して意思表示した。
普段はしっかり者のハルだが、マーシャが駆け引きなど持ち出してこようものなら、あまり見せることのない一面を持ち出して抵抗する。
友人相手でもなかなかこうはいかない。
「……いいですよ。 こういうところ、素直じゃないって彩夏さんに何度も伺いましたから」
「アルにも姉さんにもこの辺は素直だよ。 お前限定だ」
「ちゃんとそう伺ってます…………同じですよ、ハル様と。 また四年間よろしくお願いします」
「…………」
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