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すっかり脳の隅っこに放置してしまっていた約束を思い出し、ハルは頭を抱えた。
同居している姉妹同然の少女達へ、クリスマスプレゼントを送りたいということだったか。
その手伝いをすると約束した。
もちろん行く。
約束を破らないのがハルの信条だ。
「はぁ…………」
「どうしました? 約束破っちゃだめですよ」
「わかってるよ。 それよりお客さんて?」
「お父さんです」
「…………」
こともなげに言う。
ハルとしては、あまり気持ちのいい話ではなかった。
父親と言ってもハルのであって、彩夏にして他人に過ぎない。
この事実を知って初めての事態だ。
自分も居合わせたいという欲求に駆られる。
「ねえ、提案なんだけど――――」
「必要ありません。 話だけ聞いたらさっさと追い返しますから」
「でもさ…………」
「…………会って欲しくないんです。 大丈夫、心配いりませんよ。 誰かが家出してくれたおかげで、半年も二人っきりでしたし。 食事も別々で息苦しかったですけど、問題はありません」
《そうよ、わたしも一緒だし》
彩夏に抱きついてそういうアル。
そりゃ不安だ、というのがハルの素直な感想だった。
ハルの父親はアルのことを気に入ってないようだし、アルもそうらしい。
ここは素直に、彩夏の気遣いを受け入れるのが最良だろう。
「……わかった、任せるよ。 でもあんまり気まずかったら電話して」
「ええ、そうします」
《じゃ、お土産よろしくね》
「お前は俺と一緒」
『なんで!?』
「だって、絶対父さんに噛みつくだろ、お前。 もうなんか怒ってるみたいだし」
《怒ってない。 ただ、わたしの心が、叫んでるの。 絶対!! あいつにハルの苦労を思い知らせてやるって!!》
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