12月24日 お昼時

6/71
前へ
/316ページ
次へ
すっかり脳の隅っこに放置してしまっていた約束を思い出し、ハルは頭を抱えた。 同居している姉妹同然の少女達へ、クリスマスプレゼントを送りたいということだったか。 その手伝いをすると約束した。 もちろん行く。 約束を破らないのがハルの信条だ。 「はぁ…………」 「どうしました? 約束破っちゃだめですよ」 「わかってるよ。 それよりお客さんて?」 「お父さんです」 「…………」 こともなげに言う。 ハルとしては、あまり気持ちのいい話ではなかった。 父親と言ってもハルのであって、彩夏にして他人に過ぎない。 この事実を知って初めての事態だ。 自分も居合わせたいという欲求に駆られる。 「ねえ、提案なんだけど――――」 「必要ありません。 話だけ聞いたらさっさと追い返しますから」 「でもさ…………」 「…………会って欲しくないんです。 大丈夫、心配いりませんよ。 誰かが家出してくれたおかげで、半年も二人っきりでしたし。 食事も別々で息苦しかったですけど、問題はありません」 《そうよ、わたしも一緒だし》 彩夏に抱きついてそういうアル。 そりゃ不安だ、というのがハルの素直な感想だった。 ハルの父親はアルのことを気に入ってないようだし、アルもそうらしい。 ここは素直に、彩夏の気遣いを受け入れるのが最良だろう。 「……わかった、任せるよ。 でもあんまり気まずかったら電話して」 「ええ、そうします」 《じゃ、お土産よろしくね》 「お前は俺と一緒」 『なんで!?』 「だって、絶対父さんに噛みつくだろ、お前。 もうなんか怒ってるみたいだし」 《怒ってない。 ただ、わたしの心が、叫んでるの。 絶対!! あいつにハルの苦労を思い知らせてやるって!!》
/316ページ

最初のコメントを投稿しよう!

149人が本棚に入れています
本棚に追加