12月24日 お昼時

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「寒い…………」 《贅沢ね。 寒いってどんなか、わたしわかんないのに》 「了解。 生き返らせたら、真っ先に北欧でも連れて行ってやる」 ハルとアルはバス停のベンチにいた。 通りかかる人には独り言に忙しい青年が座っているだけに見えるだろう。 実際には細身の黒いコート、シャツ、パンツのハルと、黒い長袖ワンピースのアルが葬式のようなテンションで時間を持て余していた。 マーシャとの待ち合わせのためである。 学校まで向かえに行ってもよかったが、終業式をすっぽかした人間がのこのこ現れるのは気が進まなかった。 だから現在、彼らは目的地に向かうバスの出るここで待機中なのである。 《鼻はどう?》 「歩くたびにズキズキするけど、鼻骨のヒビは放っとくしかないからな。 ギプスもできないし…………それより、だ。 こんな怪我より深刻な問題がある」 《うん?》 「姉さんへのクリスマスプレゼント、用意できてない」 そう言ってどんよりとした空を仰ぎ見るハル。 予報では、今年は雪がイヴの夜をロマンチックにしてくれるらしいが、これではそれも台無しだ。 《最近それどころじゃなかったじゃん》 「まあな。 今日生きてるのかどうかも微妙だったし」 《そうね。 でも、生きてる。 状況も変わった。 プレゼント選ぶなら、今の方がいいんじゃない?》 「…………そういう考え方もありかな。 確かに、今なら指輪でもなんでも買えそうだ」 《…………》 「なんだよ?」 《わたしは?》 「お前のは押し入れに隠してる」
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