12月24日 お昼時

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嘘をつく意味もなかったので、ハルはあっさりと白状した。 予想外だったのか、鳩が豆鉄砲喰らったような顔でハルから視線を外すと、アルは顔を伏せた。 そして、ちらり、ちらりと。 彼女は微妙に間を置きながらハルの表情を窺った。 「そんなに意外か?」 《いや、だって…………いつの間に用意したの?》 「失礼なやつだな。 もう十八だぞ。 ずっと張り付かれてもサプライズ準備できるくらいには成長してるんだよ、お母さん」 《うっさい、ばか。 こんなでかい子ども持つほど老けてないわよ…………でも、ありがと。 嬉し――――》 「プレゼント見てからにしような。 この流れで後々がっかりされたら堪える」 《そんなこと、一回もなかった》 「その記録が続きゃいいんだけどな…………来た来た」 下校の時間帯だ。 学生服を来た人間は多く見かけるし、実際ハル達のそばに立ってバスを待っている生徒だっている。 ハルの通う黒芝高校の、黒を貴重とした地味な制服だった。 だからこそ彼女はよく目立つ。
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