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数字に追われ、クレームに追われ、人間関係に追われる。
力尽き、化粧もろくに落とさず寝てしまう肌は、ボロボロ。
化粧を重ねて不精を隠せば、どんどんくたびれる。
女としての私は、もうどこにもいない。
くたびれた中堅社員の私だけが、どんどん先走りして行く。
大学時代から付き合っていた彼氏とは、新卒ニ年目の冬に別れた。
忙しい私に大学院に進学した彼は、愛想を尽かした。
「こんなに会えないなんて、俺には無理。」
その時期は改装セールだった。
三倍の売上に伴う、三倍の疲労感。反比例して減っていく休息に、私は負けた。
「それなら仕方ないよ。もっと会える人でも探して。」
電話口、それが私たちの最後の言葉だった。
焦りはあった。しかし、別れて二年過ぎた頃には、諦めが先に立ってしまった。
【もう、恋なんて感じない。】
そう、思っていた。
それで良いと思っていた。
【あのコ】に出逢い、時を重ねて行くまでは……
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