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†
夜になった。
超水達三人は沛黄と別れ、貫州城の城壁にいた。
「新たな目標が生まれたな」
龍角がつぶやき、星蓮が彼に寄り添って頷いた。
「本当なら行ってほしくはありませんが……」
物寂しそうに言う星蓮の頭を、龍角は軽く撫でた。
「わがままばかりで悪いが、私は決意したのだ。この世界から慶という国を消してみせると。そして新しい国の誕生に立ち会いたい」
「……龍角様ならそう言うだろうと思っておりました」
超水は横で黙って見ている。
これから自分達は、束の間の休息に入る。そしてまた、次の戦場に立つことになるのだ。
「先生」
「なんだ?」
「俺が前に言ったこと、覚えていますか」
「……どれのことだ?」
まあそうか、と超水は苦笑した。
「先生はもっと大きな人物になりそうだっていう話をしましたよね」
「ああ、そんなことも言われたな」
「俺は今でもそう思っていますよ。ですから、次の戦いではさらに大きな功績を挙げましょう。先生は一軍の将よりさらに上に行けるはずです」
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