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「では、武運を」
超雪が槍を天に掲げ、一息。そして、槍が前方に突き出された。
「突撃――開始!」
鬨(とき)の声が、冷えた大気を引き裂いた。緑の芝に覆われた平地を、紺の騎兵が津波のごとく突き進んでいく。
しばらく駆けたところで、全員が雄叫びを上げた。
超水も周りに負けるものかと声を張り上げる。とにかく叫ぶ。それで相手に恐怖感を与えるのだ。超水は、同じ列の騎兵においてきぼりにされることなく敵と接近した。
――いよいよだ!
槍を持つ手にも力が入る。
両軍の馬蹄の響き、そして喚声は、近雷に匹敵するほどの轟音と化した。
その音が一足先に空中で激突し、次いで兵士がぶつかり合った。
自分の右側に迫ってくる騎兵に対し、超水は槍を構える。抜け際に槍を振るい、相手の喉笛を正確にかき切る。
背後で騎兵が落馬した音を聞きつつ、超水は乱戦の真っ只中へと入っていく。
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