第一章――煉北会戦

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   両軍の第一波が入り乱れると、戦場は早くも混乱を起こしたようだった。  鍛え抜かれた煉州軍は強く、官軍の騎兵が次々に落馬していく。ある者は槍を、ある者は剣を手に官軍を攻め立てる。  一方の官軍は、序盤から明らかに劣勢であった。国の堕落に合わせるようにして、調練もまともに行われなくなっていった。  仲間の死を間近で目にし、怯えて逃げる兵士はどの戦場にもいる。それは戦が中盤に差し掛かった頃から始まることが多い。  しかしこの時の官軍は、第一撃の流血を見て逃げ出す者が続出した。  部隊長の指揮もほとんど機能しておらず、これが官軍とは怪しいほどである。  超水は逃げる兵を無視し、自分の前に立ち塞がる敵を倒すことに集中した。  ……これなら第二陣が動く前に片付いてしまうのでは。  そんなことを考える余裕すらあった。  
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