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そこから先は、目に余る虐殺であった。
這ってでも逃げようとする兵士は首を落とされ、逃げ遅れた者は槍の餌食にされる。戦場がたちまち濃密な朱に塗りつぶされていく。
「そ、そこまでやるのか……」
超水は呆然とその場に立っていた。だが、
「水! お前も早く行け! 手柄を立て損なうな!」
近くから超雪に怒声を浴びせられ、慌てて追撃の列に入った。
少し走ると、すぐ近くに腰が抜けて動けないでいる兵士がいた。相手は、超水を見ておびえた声を出し、腕だけで後ろに下がる。
「た、助けてくれ」
兵士は涙を流していた。
「……悪いが、できない」
超水は槍を強く握り、へたり込んでいる兵士の心臓を貫いた。倒れた兵士は最期まで、恨みがましい目で超水を睨んでいた。見なかったことにした。
煉州軍の追撃はかなりの距離に及び、戦場を飛び出して街道にまで死体があふれかえるという状態に陥った。
超水の胸にはもやが渦巻いていた。いくらなんでもこれはやりすぎではないのか……。
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