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「え……」
そのあとの光景に、超水は息を呑んだ。
縄できつく縛られた状態で連れて来られたのは、官軍の兵士だった。三人ほどだが、いずれも若く見える。二十過ぎくらいか。
「皆、今日はよくやった。今より戦勝を祝う。――超雪」
「はっ」
峡英の命令で、超雪は腰の短刀を抜いた。
「父上――」
一体なにを――と言おうとした瞬間、超雪の短刀が捕虜の耳を削ぎ落とした。
耳を刺す絶叫。
捕虜がのたうちまわるが、屈強な煉州兵がそれを押さえつけて封じる。他の二人の捕虜も、顔を青くして動けないでいた。
驚愕の声すらあげられなかった超水の前で、捕虜の耳が鉄板で焼かれる。
鼻を突く異臭が立ちのぼり、超水は思わず顔をしかめる。
頃合いを見て、超雪がその耳を箸で拾った。
そしてそれを、
「食え」
切り取られた本人に突き付けたのである。
「許して、助けて……」
耳のない捕虜は、涙をこぼして懇願した。しかし聞き入れられるはずがない。箸を無理矢理口に突っ込まれ、捕虜は、自分で自分の耳を食らった。
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