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――呈州。
慶の東南端に位置する煉州とは反対に、西に存在する州だ。
領土面積は、慶王朝十一州の中でも下から数えたほうが早く、地味な印象がある。
かつては、慶王朝の中核を担う名士を多数輩出していた州でもあったが、最近ではそのような話は聞かれない。
ともかく、そこで仕事をしながら軍を視察し、煉州軍のようでなければ仕官する。それが超水の考えであった。
……まずは仕事を探さないと生きていけないからな。
超水は軽い足取りで街道を進んで行く。道はよく整備されており、歩きやすい。
これなら馬車も揺れないだろう――そんなことを思う超水だった。
小さな町が見えてくるのは、それから三日後のことである。
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