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「大変だ、山賊だ! また山賊が出たぞ!」
町の表通りを悲鳴が貫いた。
立て続けに激しく打ち鳴らされる半鐘。
宿屋やら商店やらの店主達があわあわと驚いている。
鐘からほとんど間を置くこともなく、馬蹄の響きが町に届いてくる。槍やら湾刀を手にした男達が殴り込んできた。
「金目の物は片っ端からかっさらえ! 邪魔する奴はぶっ殺しちまえ!」
獣の皮をまとった、頭領と思わしき男が怒声をあげた。
瞬く間に町の中央で惨劇が展開される。
「しつこい奴らめ」
そんな中、大通りの一角から三人の男女が戦いの様子を窺っていた。
「先生、さすがに今回は数が多すぎます」
一番左、細身で貧相な外見の青年が言う。
それに対して真ん中に立っている男は、
「だが、この町を守るには戦うしかないんだろうが」
冷静に返した。
「先生一人じゃどうしようもないですがね」
「町長が尻尾巻いて逃げるなんて、恥知らずもいいところだ」
言いながら、男は通りへと飛び出していった。
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