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一方的な虐殺であり、掠奪であった。
超水は歯ぎしりした。虐殺には苦い思い出がある。
突然の事態に我を忘れたのはほんの一瞬で、すぐに槍を使える体勢に入った。
まずは冷静に周囲の状況を確認し、優先すべき場所を探る。
「あそこか」
左手、若い女が三人ほどの男に捕まっていた。女は押し倒され、その腹上に男がのしかかっている。今にも服を引き剥がさんという勢いであった。
超水は一気に駆け寄り、問答無用で男の背中に槍を突き立てた。
「な、んだ……?」
背中に突き込んだ槍が、男の背骨を砕いた。
生々しい感触を無視して槍を引き抜き、女を取り囲んでいた山賊二人を立て続けに突き伏せる。
思わぬ襲撃に、どちらの山賊も抵抗できないままに倒れ、動かなくなった。
「大丈夫ですか?」
押し倒されていた女に声をかけると、相手はハッとした様子でこちらを見た。
「あ、ありがとう……ございました」
言ってから、思い出したようにはだけた胸元を直した。
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