第二章――龍角

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   超水が振り返ると、二人の男が地面に転がっていた。視界の奥に立つ、頭領らしき男に敗れたようだ。  ……頭(かしら)が目の前にいるだけ手間も省けるか。  超水が駆け出すと、頭領の男も反応して剣をかまえた。  こちらの武器が槍だということを警戒したのか、向こうから仕掛けようとはしない。  少しはできるようだ。  油断はしないほうがいい、程度の判断で、超水は突っ込んでいった。  倒れている二人組の横を通過し、正面に槍を繰り出す。頭領は身をひねりつつ剣を出し、槍と交差させる。  相手は、あいた左手で槍を掴もうとするが、超水はすかさず槍を引いてそれを防ぐ。  速かったのはそこからだ。  槍を出すと見せかけ、超水は相手に体当たりを仕掛けた。槍に意識を集中していただけに、頭領はかわしきれなかった。頭領は尻餅をつく。 「くそっ、何者だ」  立ち上がった頭領が苛立たしげに言い放つが、超水は平然として、 「しがない旅人だ」  とだけ返す。  
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