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「ここからは俺が相手をしてやるぞ」
超水が槍をかまえ直して言うと、頭領はちっと舌打ちした。今のわずかな戦いで超水の実力を感じとったようだ。
「お前を倒してもこちらに得はないからな、退かせてもらう」
頭領は素早く駆け出し、馬に飛び乗る。近くの部下に命令し、撤退の銅鑼を打たせた。
混乱を極める街中を乾いた金属音が貫く。
合図を聞いて、山賊達が様々な戦利品を小脇に抱えて引き上げていく。
それを確認してから、頭領も馬を走らせた。
「くそっ、またやられた」
超水の後ろで、男が苦しそうに呻く。
超水は槍を右手で強く握り、その身を弓のように反らした。
そして、渾身の力でその槍を投擲する。
槍は風を切り裂くほどの速度で飛んでいき、こちらに背を向けていた頭領の後頭部に吸い込まれるように命中した。
頭部を軽々と貫通した槍は、その衝撃を頭の内側に、一気に解放した。
頭領の首から上が、割れた西瓜のように爆ぜた。
突然の出来事に、山賊達が悲鳴をあげた。わけが分からない、という様子で逃げていく。
その姿が小さくなり、やがて見えなくなった。
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