第二章――龍角

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  「当たってよかった」  超水は、道路に転がった槍を拾い上げる。柄から先端まで血まみれだ。  普通の人間なら不気味がって触らないところだが、血に慣れている超水には気にならなかった。 「そこなお方」  頭部を失った山賊の頭領の死体。それを黙って見下ろす超水に声をかける者がいた。  先ほどまで倒れていた男だった。もう一人の痩せた男もようやく立ち上がったところだ。 「危ないところを、ありがとうございました」  男はきわめて穏やかな口調で言う。 「いやいや、当然のことをしたまでです」  超水も笑顔で返した。 「しかし、恐れ入った腕前にございますな。我々がてこずっていたあの頭領を圧倒し、投げ槍の一撃で倒すとは」  相手は心底驚いている様子であった。  超水は平然として、 「あの程度の男なら、故郷に掃いて捨てるほどいたもので」  言い切った。 「故郷はどちらで?」 「煉州です」 「ははぁ、武人の国から! それはお強いわけだ!」  男がおおげさに驚くのを目にして、超水は内心で苦笑する。  
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