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……父親に比べれば、まだまだだけどな。
男は、そんなことを思っていた超水に、
「申し遅れました。私はこの町の長(おさ)を任されている龍角という者」
丁寧に礼をして名乗る。その自然とした動作を見ているだけで、彼が良家の生まれであることがわかる。
「自分は姓を超、名を水と申す者にござる」
姓と名を分けるのが、煉州流の名乗り方だ。
「超水殿にお礼をしたく存じます。ぜひ我が家へお越しくだされ」
龍角は深々と頭を下げた。
どう見ても、この龍角という男は超水より年上である。
それにも関わらずこれほど下手に出るとは。しかも、これだけへりくだっておきながら、彼の態度には嫌らしさが一切含まれていない。
超水は、そんな龍角という人物に興味を抱いた。
無理を言って立ち去る理由もない。
場合によっては、この町で宿を借りるのもありだろう。
はっきりとした予定のない超水の決断は早かった。
「では、お言葉に甘えて」
人懐こい笑みを浮かべ、龍角は小さくうなずいた。
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