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案内された龍角の屋敷は、思っていたよりも質素であった。
ひびの入った塀に囲まれ、入り口には池がある。その上を小さな石橋が渡っているが、それ以外には飾り気はない。
玄関を真っ直ぐに進んで、庭園に面した部屋に通された超水は、座席であぐらをかいて、黙って松を眺めている。部屋には長台が二つ置かれ、あとは本棚が一つあるだけの質素な部屋だ。
龍角は、少し前に外に出て行ったきり戻ってこない。
町長である彼には、襲撃によって動揺している民衆をなだめる義務があった。
……町長というのも楽じゃなさそうだな。
超水の中では、民衆から金を巻き上げるのが町長という印象が強かった。
「ええと、超水様、でよろしかったでしょうか」
不意に、背後から透き通るような女の声が響いた。
そちらに顔を向けると、盆を手にした女がこちらを見ている。その顔には見覚えがあった。真っ先に助けた女だ。
「ああ、さっきの……」
女は盆を台に置き、静々とした動作で頭を下げる。
「星蓮と申します。危ないところを助けていただき、本当にありがとうございました」
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