第二章――龍角

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  「や、真っ先に目に映ったものですから」  超水は、頭に手をやってわざとらしく笑う。少し照れてしまっていた。  星蓮と名乗った女はゆっくりと顔をあげた。  色白の小柄な女性だった。  豊かにふくらんだ唇、美しく流れる黒髪、なまめかしい指。強さと清楚さを兼ね備えたかのような顔は、二十代半ばというところか。  超水は、なぜだか星蓮を直視できなかった。  ……待て。俺はなにを考えているのだ。  大きめに咳ばらいをして、星蓮の勧めた湯飲みを手にとる。星蓮も、超水の向かい側の席に正座する。  茶はちょうどいい熱さだった。 「その、星蓮殿は龍角殿とはどういうご関係で?」 「はい、恋人……というところでしょうか」  率直な返答に、超水は茶を吹き出しそうになった。  正直なところ超水は、星蓮に一目惚れしそうだったことは間違いない。  早いうちに恋人がいるとわかってよかった。  それだけの会話で、超水は平静を取り戻す。すぐ横で、星蓮も湯飲みに口をつけた。  そんな動作の一つ一つが実に優雅である。  
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