第一章――煉北会戦

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   齢(よわい)十八。  元服(成人の儀式)が十五歳の時に行われることを考えると、やや遅い初陣である。  髭を綺麗に剃った清潔感のある顔。すっきりとした目鼻立ち。眼光は鷹のように鋭く、睨みつければ相手を畏縮させるほどだ。  体格も同年代の男と比べれば、抜きん出ていると言える。鎧の上からでも、鍛えられた肉体ははっきりとわかった。 「水(すい)、水よ」  しかめ面を続ける超水のもとに、一人の騎兵が駆け寄ってきた。  兜には、赤色に塗られた鹿の角が二つ。父の超雪(ちょうせつ)だった。 「は、父上」 「太守(たいしゅ)様が間もなく軍議を開かれる。お前も参加するのだ。来い」  超水は軽く頭を下げて返すだけにした。  行軍しながら軍議を行うなど、通常ならありえない。だが、この軍は違う。軍議をしながらも移動距離を稼ぐという、効率重視なのである。  超水は、重量のある鎧を気にすることなく、軍議に赴く。  
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