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「いやはや、お二人とも決断が早い。この沛黄、感心いたしました」
香京との謁見が終わり、超水達は貫州城の三階にいた。
外壁から張り出した広縁(ひろえん・のちにベランダと呼ばれるようになる)に、超水、龍角、沛黄、そして星蓮がいた。
眼下には広大な田園地帯と、遠景には雪をかぶった山々が見える。
「星蓮殿、安心していただきたい。龍角殿は実に立派でしたぞ。武臣達からの反応も上々でございますぞ」
「はい、それはようございました」
「して、沛黄殿、慶都への出征はいつ頃の予定なのでしょうか」
龍角が訊いた。
「寒いうちに動くのは得策ではありません。我々の知らない土地で、しかも寒さに凍えていては勝てる戦にも勝てませんので。よって、雪解けが進んでから、ということになりましょう」
「では、それまでは呈州に戻っていても?」
沛黄は首を横に振った。
「長い間というわけにはいきませんぞ。何せ、龍角殿は明日より軍の将になるわけですので」
「はあ……」
「そうですな、まずは十日以内に、呈州より必要な物を持ってくるべきでしょう」
龍角は残念そうな顔をした。
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