第一章――煉北会戦

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  「先鋒隊の超雪を先陣に、まずは一万の兵を繰り出す。前線に敵を集中させて側面を強襲する。異論のある者は」  誰も反論しなかった。将として用兵術にも長けた峡英を、皆が信頼している。 「第二陣は玄索(げんさく)が率いて側面を突け。俺が三陣を引き連れ総攻撃をかける」  峡英は素早く指示を飛ばし、そのたびに呼ばれた将が返事をして去っていく。  煉州軍は無駄な行動を省く。君主の話を聞いている時間を削り、自分の隊を調整しろ、というのが峡英のやり方である。  父、超雪が離れたのを見てから、超水もゆっくりと峡英から離れていった。  統一国家〈慶(けい)〉は、十二の州から構成されている。  それぞれの州を治める太守がいて、その上には皇帝が存在する。  峡英が相手にしようとしているのは、その皇帝だった。理由は至極単純。皇帝による圧政が限界に近いためだ。  無能な皇帝のために、すでに慶王朝は傾きだしている。  峡英は民衆の解放を謳い、反乱軍を結成したのだ。  image=435103546.jpg
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