第一章――煉北会戦

7/17
前へ
/435ページ
次へ
   その中でも、超雪は群を抜く槍の腕前を誇る。民衆からは〈闘神〉と崇められるほどの存在で、息子の超水であっても、会話の際は緊張してしまうほどだ。 「人生で一度きりの初陣、ここで功を挙げねば今後が暗くなる。傷一つ負わず、敵を蹴散らしてみせよ。超家の武術を敵味方関係なく見せつけてやれ。――できぬとは言わせん」 「はい……できます」  父は超水をも上回るほどがっちりした体格であり、鎧がはち切れんばかりの肉体を保持していた。  今までに挙げてきた戦果は数え切れない。  それゆえ、息子が家名を汚すことなど絶対にあってはならないのだ。超水はその重圧とずっと戦ってきた。  彼が十八年間で培った武術を披露することになるのは、その翌日になってからであった。      †  官軍が姿を現したのは太陽が昇ってからすぐのことで、着陣後に官軍大将の曹紀(そうき)から会談の申し入れがあった。  峡英はこの申し入れをすぐに断った。 「煉州軍はただちに武装解除して降伏せよ」と言われるのは目に見えてわかっていたからだ。  交渉決裂となるや、官軍はただちに攻撃の用意に取りかかっていた。  
/435ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1140人が本棚に入れています
本棚に追加