9/12 宇宙の日

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先輩。その発言はちょっと……。 「待てよ。普通に全員は好きじゃないだろ?」 私もそう思います。 「え? そうなの?」 笑顔のまま首を傾ける米谷先輩。ジョークとか軽いノリとかそういうんじゃなかったんですね。 「少なくともオレはキョーミない」 「実は……私もあんまり」 暗記教科は好きじゃないんです。 「ヒロちゃんはどう?」 突然の振りに、ヒロは驚きのあまりペンギンのストラップ付きシャープペンの芯を折ってしまった。 そして、私と先輩の顔を交互に見て、「私?」とでもいいたげな表情になる。 そう、ヒロだよ、ヒロ! 「……えと……好き」 告白かよ! かわいいよ、もう! 「ヒロは、昔から理系好きだもんね」 「……理系っていうか……天文学」 ? 同じじゃないの? 「…………」 「理系っていうのは、一つの学問というよりは、数字を扱う科目全般のこと。天文学は、主に宇宙を扱う学問のこと、であってるかな?」 先輩の説明にヒロは従順な犬のようにうなずいた。 「そんなことはどうでもいんだよ」 自分から振っておいてバッサリですか。 「で、宇宙の日ってなんなんだ?」 「そうだね。本題に入ろうか。配った資料を見てください」 米谷先輩は穏やかにそう言った。いや、さすが先輩。私ならこんな部長の発言キレてますよ。 さてさて、宇宙の日とはなんぞや、と。 「9月12日、宇宙の日は、末永く宇宙の普及活動を行おうと考え、一般の公募により今日9月12日に決定しました。ちなみにこの日なのは、1992年の9月12日が、あの毛利さんがスペースシャトルで初めて宇宙へ飛び立った日だからだそうだよ」 そのパターンか。記念日の一つの決め方に、『○○記念日をつくろう』→『いつにするか?』パターンがある。あとよくあるのは、『この出来事が起こった日を記念日にしよう』パターン。 どちらかというと、二番目のパターンが記念日の決め方として自然な気がするのはなんでだろう。 「ここまでは大丈夫?」 あ、大丈夫じゃないです。と、手を挙げようとしたが、先に部長に発言されてしまった。しかも同じようなことを。 「毛利さんって誰だよ」
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