19人が本棚に入れています
本棚に追加
先輩。その発言はちょっと……。
「待てよ。普通に全員は好きじゃないだろ?」
私もそう思います。
「え? そうなの?」
笑顔のまま首を傾ける米谷先輩。ジョークとか軽いノリとかそういうんじゃなかったんですね。
「少なくともオレはキョーミない」
「実は……私もあんまり」
暗記教科は好きじゃないんです。
「ヒロちゃんはどう?」
突然の振りに、ヒロは驚きのあまりペンギンのストラップ付きシャープペンの芯を折ってしまった。
そして、私と先輩の顔を交互に見て、「私?」とでもいいたげな表情になる。
そう、ヒロだよ、ヒロ!
「……えと……好き」
告白かよ! かわいいよ、もう!
「ヒロは、昔から理系好きだもんね」
「……理系っていうか……天文学」
? 同じじゃないの?
「…………」
「理系っていうのは、一つの学問というよりは、数字を扱う科目全般のこと。天文学は、主に宇宙を扱う学問のこと、であってるかな?」
先輩の説明にヒロは従順な犬のようにうなずいた。
「そんなことはどうでもいんだよ」
自分から振っておいてバッサリですか。
「で、宇宙の日ってなんなんだ?」
「そうだね。本題に入ろうか。配った資料を見てください」
米谷先輩は穏やかにそう言った。いや、さすが先輩。私ならこんな部長の発言キレてますよ。
さてさて、宇宙の日とはなんぞや、と。
「9月12日、宇宙の日は、末永く宇宙の普及活動を行おうと考え、一般の公募により今日9月12日に決定しました。ちなみにこの日なのは、1992年の9月12日が、あの毛利さんがスペースシャトルで初めて宇宙へ飛び立った日だからだそうだよ」
そのパターンか。記念日の一つの決め方に、『○○記念日をつくろう』→『いつにするか?』パターンがある。あとよくあるのは、『この出来事が起こった日を記念日にしよう』パターン。
どちらかというと、二番目のパターンが記念日の決め方として自然な気がするのはなんでだろう。
「ここまでは大丈夫?」
あ、大丈夫じゃないです。と、手を挙げようとしたが、先に部長に発言されてしまった。しかも同じようなことを。
「毛利さんって誰だよ」
最初のコメントを投稿しよう!