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「え? 知らないの?」
拍子抜けされてしまった。私もあまり知らないけど、もしかして一般常識レベルのことなんだろうか?
……だったら、恥ずかしい。
「しらねーよ。キョーミないんだから」
部長はイラつくくらい憮然とした口調でそう言った。
「そっか。そうだよね。興味ないことだったら知らなくても不思議じゃないよね。ごめんね」
あー謝らなくても! いいんですよ、先輩は悪くないんです!!
「それじゃ、簡単に説明すると、毛利さんは日本人で初めてスペースシャトルに乗った人で、その功績を称えて国から表彰されたりもして有名な人なんだ」
ときどきテレビに出て、宇宙関係のコメントするだけの人じゃなかったんだ。
「……毛利さんは……ここ北海道出身」
珍しくヒロが誰にも促されることなく自分から議論に参加する。
北海道出身かーなぜか一気に親近感が沸いいてくる。
「だから宇宙の日をつくるときに、毛利さんにちなんで9月12日になったことは、自然な流れだと思うんだよね」
「毛利さんの偉大さは、まだよくわかりませんが、宇宙の話になると、毛利さんの顔が浮かびますから、宇宙といえば毛利さんみたいに浸透はしていると思います」
私達はコクコクとうなずき合った。
ところが、またまた例のごとく一人だけ納得してないぞと顔中で表現している部長が、おもむろにその口を開いた。
「毛利さんのことは、どうでもいい。オレには。宇宙のことだって、どうでもいいんだ。この記念日は、そんなオレみたいなやつに宇宙のことを知ってもらおうっていう目的があんだろ? じゃあさ、何をやってんだ?」
言い方にはいちいち腹が立つけど、言ってることは正しい。反論したかったが反論できないまま、米谷副部長の説明を待つ。
「宇宙の日ふれあい月間ということで、9月から10月頭までに宇宙関連行事を行っています。小学生や中学生を対象に、作文や絵のコンテストを行ったり、ふれあいフェスティバルという集会を開いています」
すごい大々的な展開! お金かけてそうだな。
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