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「コンテストの方は、毎回テーマが決められてそれに沿って送られてくる作品を評価し、最終的にいろいろな宇宙関連団体、企業から優秀なものを表彰するらしいです。ちなみに、商品も当たるとかなんとか」
「すごいですね。そこまでやっているなら相当お金ありますよね」
「国との関係が強いんだろ?」
「さすが! このコンテストもフェスティバルもどちらも文科省が関わっているんだよね」
あーだからこんなに大きな。
「……送ったことある……」
ヒロから意外な言葉がもれた。
「え、ヒロちゃん出したの?」
「……望遠鏡ほしかったから……」
望遠鏡?
「……副賞……望遠鏡……もらえるって噂あった」
どの範囲での噂だろうか。天文学マニアの間?
「それでもらえたのか?」
ヒロは何も言わず、ふるふると首を横に振った。
「ふれあいフェスティバルの方はどんなだ?」
「こっちは、残念ながら今年は開催されないみたい」
え? なぜに、どして? これだけ大がかりなら楽しそうなイベントになりそうなのに。
「なんだけど、去年の結果を調べると、出てたから、そのまま資料に載せてみました。『宇宙や科学の不思議がわかる体験として様々な工作や天文体験、宇宙服での記念撮影&缶バッジプレゼント、傘袋を使ったロケット工作&打ち上げ、クイズ大会など、親子で楽しめるプログラムをたくさん行いました』(「宇宙の日」ホームページより抜粋)」
やっぱり楽しそう!
私の目には小学生男子集団の走り回る様子や親子連れで楽しく、ときに驚きながらいろいろなプログラムに取り組んでいる様子が浮かんできた。
「楽しそうですよね?」
「うん、そうだね」
「……きっと楽しい」
「そうか?」
また部長どうしてあなたは、そんなに反発しやがるんですか!
せっかく、楽しそうだねでまとめて終わりそうだったのに!!
「これ、大人向けじゃねーじゃん」
え……。
私はもう一度資料を読み直した。
『宇宙や科学の不思議がわかる体験として様々な工作や天文体験、宇宙服での記念撮影&缶バッジプレゼント、傘袋を使ったロケット工作&打ち上げ、クイズ大会など、親子で楽しめるプログラムをたくさん行いました』
「た、確かに。これ子ども向けのプログラム」
あっ! 待ってコンテストの方も、小中学生対象じゃ……。
「え、なに? ということは」
「全部子ども向けだろ? こんなこと今のオレらがやっても楽しくねーだろ」
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