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「えーこんな感じがクリスマスの概要なんですが、日本のクリスマスと外国のクリスマスではいろいろと違いがあるようなんです」
部長はなんの反応も起こさなかった。やっぱり、こっちの方がやりやすい。
「日本ではなんとなくクリスマスといえば、恋人と過ごすみたいなイメージがありますが、キリスト教圏では家族と過ごすことが多いらしいんですね」
「ああ、そうなんだ」
部長に代わって米谷先輩。先輩のはいつも通り自然で違和感がなかった。
「あとは……うーん、他にもいろいろあるようですが、細かいことなんで省きます。全体としてはこんな感じですね」
私がふーっと長い息を吐くと、初めて拍手が沸き上がった。
発信源は袖口先生で、みんなに伝播していった。あの部長にも。
「いつもこんなふうに真面目にやってるのね」
「ええ、まあ」
やってないときが大半だけど。
「このあと、今話したことを元に議論を進めて、僕たち記念日研究同好会としての考えをまとめるんです」
「それは素敵ね」
『それは』が『あなたは』に聞こえます。私のときの2倍増しくらいな笑顔にならないで下さい。
「よし! それじゃ議論に入りますか!」
……お前誰だよ。
窓の外を見ると、チラチラと白い雪が降り始めていた。
はぁ。
今日は突っ込みどころが多すぎる。
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