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「でも、クリスマスで議論することなんてあるの?」
「うーん……」
改めて考えると何も浮かばない。あまりにも身近な記念日すぎるのか、いまさら何かを考えるような隙間はないような気がする。
「あるよ」
米谷先輩が手を挙げた。
「たとえば、日本とキリスト教圏の違いはどうしてあるのかとか、クリスマスの意味とか、面白いところではサンタについてとか、なんて、ね」
にっこりスマイル。隣の先生はにやけスマイルに。
「それいいと思うよ、米谷君。みんなで考えてみよう」
先生は絶対米谷先輩に気に入られようという目的で賛成しているんだろうけど、まあ、私も賛成かな?
「それじゃあ、サンタクロ――」
「いや、待てよ」
はい、出たー。やっと出ました、KY部長。
「なんですか」
「お前、今いきなりテンション下がっただろ」
「気のせいですよ、気のせい」
図星だよ、バカヤロウ。……だいたい、こういうふうに二回繰り返すときは、そうですよと伝えているようなもので。
でも、部長は変わらず話を続けるわけで。
「一番大事なトコが抜けてんだろ」
「一番大事な所? なんですか?」
「今のクリスマスが商業主義になってるってことだよ」
む……。商業主義?
「日本なんてあからさまにそうじゃねーか。クリスマスだーって言ってケーキ買わされて、プレゼント買わされて、ツリーだなんだって」
「まあ、確かにそれはそうですね」
「だろ?」
「でも、いいじゃないですか。みんな共通の記念日としてケーキとプレゼント買って、ツリーに飾り付けして楽しむんですから」
「だから、元々のクリスマスの意義はどこにいったんだってことだよ」
……意義?
「元々はキリストの降誕記念日だったんだろ?」
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