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「え~それじゃあ、今年一年みんな頑張ったね。そして、恋人のいない私にもみんなにもメリークリスマス!」
「わー……」
自然な笑顔で場の空気に合わせながら、実のところ、これで何回目ですか、と軽部友希乃は思っていた。
いつも通りの部活動だったはずが、いつの間にかフライドチキンだとかが入ったクリスマス用のオードブルを食べ、いつの間にか只野が時間をかけて作った手作りケーキを味わい、そしていつの間にか映画は三本目が終わりかけていた。
映画が二本目にさしかかる頃には、どこからか持ってきたシャンパンやワインを顧問である袖口が一人で飲み始め、相当お酒に弱いのか、完全に酔っ払って何度も乾杯をくり返すこのありさま。
部長の村瀬は、自分が始めたパーティーのくせに映画の一本目からウトウトし始めて、いまや一人用ソファに深くもたれかかって熟睡体勢だった。
只野もいつからかスースーと可愛い寝息を立てながら、器用にも背筋を伸ばしたまま眠りにつき、今、起きて袖口の相手をしているのは、軽部と副部長である米谷だけだった。
「あっ、DVD替えますね」
「ありがとう」
軽部は、完全に義務の気持ちだけでDVDを替えながら、改めて自分はいったい何をしているんだろうと、周りにわからないよう小さくため息をついた。
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