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「それじゃあ、黙祷しますよ」
部長以外の全員が手を合わせた。
「黙祷」
パチッと電化製品のスイッチが入った音が聞こえ、何の音だろうと思っていると、この場に似つかわしくない、あの電化製品を立ち上げる音が聞こえる。
それは、つまり。
「何やってんですか、部長! ゲーム止めて下さいよ!!」
てめぇ、いい加減にしろ!
「別に黙祷中にゲームしちゃいけないなんて決めてなかったじゃねーか」
「当たり前じゃないですか!? 誰が黙祷中にゲームするなんて思いますか!」
部長は堂々と自分を指差して言った。
「オレ」
「俺」じゃねーんだよ! 小学生か!!
「部長、いい加減にして下さ――」
「はーい! ストップ、ストップ!」
止めてくれたのはまたもや米谷先輩だった。あ~、やっぱり、なんであなたが副部長なんですか~。
こいつと先輩が逆ならいいんです。こいつの言動に何も文句は言いません。
なのに、こいつが部長なんです。こいつが部長じゃなけりゃ、何でもいいんですよ、もう。
なんて私が脳内葛藤をしていると、米谷先輩の口から恐ろしい言葉が飛び出してきた。
「これ、ヒロちゃん、全部記録してるからね。この会の公式の記録に載っちゃうよ」
笑顔でなに恐ろしいことを――!
さすがの部長も恐怖を感じたのか、自分からゲームとテレビの電源を切り、私の用意した資料を読み始めた。
「部長!」
「いいから進めろ、軽部!」
「はっ、はい!」
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