‐Program-Ⅱ‐人工知能人格‐

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ぬいぐるみが所狭しと敷き詰められたファンシーな部屋に、一世代前の旧型のパソコンが置いてあった。 その前に瞬花が座り、白桃と何やら話ながら二つのパソコンを操作する。 オレは熊のぬいぐるみを枕にして、ベッドの上に転がった。 霧藍と蔭朧も、二人で…いや、二人と鎖とタグで何やら雑談している。 そろそろAI無しでは友人との会話にも支障が出てきた。 まあその友人の家にきて、早速眠ろうとしているオレが言うべきことでもないが。 『おやおや、もうおねむかの?鳴世』 「ああ、今日は無理して起きたからな、結局遅刻したんだけど」 「おーい、寝るなら帰れよ、お前寝起き悪いから嫌だし」 瞬花に似た声で友達思いの無い空耳が聞こえたが無視しよう。 「鳴世、疲れてたみたいだから家に帰って寝れば?そのほうがいいと思うよ」 「蔭朧までそんなことを…」 『鳴世のことを思って言っておるのじゃ、素直に聞けばよかろうに』 「………そうだな、そうするか」 居ても親睦を深めるわけでもなしな、もう時間も時間だから帰るか。 「ワシも帰るわ」 「じゃあな、瞬花、蔭朧」 「おうまた明日、ああ待て!お前ら見逃すなよ!」 ドアを開けた状態で呼び止められ、オレは振り返って首を傾げた。 『分かってるよバーカ、そう何度も言われなくてもちゃんと記憶してんだから黙ってろカス』 霧藍の代わりにVIёが返事をするが、残念ながら機械なみの記憶力が無いオレは何のことだか分からない。 「見逃すなって何をだ?」 『アーバンリナの選抜ですよー今日から始まるんですよん』 ああ、あれか。 全く興味の無い話題に落胆し、正面に向き直る。 「悪いけど…興味無いから、見たいドラマもあるからな」 瞬花と白桃、それと蔭朧も何か言った気がしたが、オレは無視して部屋を出た。
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