795人が本棚に入れています
本棚に追加
佐藤さんは声が出せず震えながらカメラを覗いている
映像は小刻みに揺れながら、あのおじさんの肩から上をとらえている
おじさんが何かを言っている
口が小さく動いている
何を言っているかはわからない
佐藤『…うわぁぁああああっ!』
突然、佐藤さんの叫び声
佐藤さんは尻餅を着いた
それに気づいた3人が駆け寄る
みゆき『佐藤君っ!どうしたの?』
中田『おいっ!佐藤!どないしてん!』
合田『佐藤っ!』
佐藤『…は…はぁ…ぁ……い……今…』
中田『何やねん?何があってん?』
みゆき『佐藤君…大丈夫?』
佐藤『…い、今…おったやろ?』
中田『だれがやっ?誰もおらんぞ、俺らだけやっ!』
佐藤『あのおじさん…』
中田『おっさん?あれは通り過ぎて行ってもうたやんけっ!』
佐藤『ち…ちがう…目の前に…』
合田『目の前?…』
中田『誰もおらんわっ!』
佐藤『さ、さっきまでここに…』
中田『だから、通り過ぎてどっか行ったやろ?』
佐藤『ちがうねん…そうじゃ無いねん…………』
みゆき『どう言う事?』
佐藤『…ハァ…ハァ…あの……さ、さっき、歩いて墓地に向かってた時…俺、カメラ覗きながら一回振り返って後ろ見たんや…』
合田『………』
佐藤『そ、そしたら……目の前におじさんが…』
みゆき『いぃ…』
中田『あの、あのおっさんか?』
佐藤『うん…立っててん……………なんか…なんか喋ってたけど…何言うてるかわからんかった…』
合田『マジで……』
中田『で、でも、お前叫んで振り返った時、おっさんなんかおらんかったでっ!』
みゆき『消えたの?』
佐藤『わからん…でも、倒れてすぐに見たんやけど……もうおらんかった…』
中田『どうなってるんや…』
最初のコメントを投稿しよう!