はじまりの結婚式

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「ねえ。あなたはあなた自身を信じていない。じゃあ、私はどう?私のことは信じられる?信じられない?」  やれやれ。なんでこんな話になってしまったんだ。今、死期が来ないかな。このままずらかりたい気分だ。 「今、死にたいって思ったでしょ?」 と彼女は僕を見て話した。何で分かるんだ?表情に出てたのか? 「どうして私に分かったんだろうって分析始めてない?」 とまた彼女は僕の心の内を言い当てた。もう明らかに動揺が顔に出ているであろう僕をよそに彼女は僕の顔から視線をずらしてベッド越しの白い壁を見つめながらさらに質問を重ねた。 「あなたは自分が死にたいと思っているのか、それとも本当は生きたいと思っているのか、それすらも分かっていないんじゃない?多くの患者さんと接してきて感じたんだけれど、自分を信じられない人は皆そうみたい。じゃあ、どうして自分を信じられないと思う?」
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