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彼女はすっと立ち上がって僕のタオルケットを直した。
「今日は疲れたでしょ。少し眠るといいわ。私も仮眠室で休んでくるから。勤務中のスタッフがすぐに来るから安心して眠ってね。おやすみ」
と彼女は言って僕の頬にキスをした。そのキスで僕の頭の乱反射は嘘のように治まった。
「なあ。さっきの君の“しあわせに”の解釈、気に入ったよ。ブラックジョークに通ずるものがある。これから二人で交わす挨拶は“しあわせに”にしないか?」
「いいわね。じゃあ、早速“おやすみ”を言い直すわね。しあわせに」
「ああ。しあわせに」
二人で微笑み合った。ドアに向かって吸い込まれるように歩いてゆく彼女の背中に向かって僕はもう一度言った。
「しあわせに」
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