はじまりの結婚式

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 その間、僕は看護師に身を委ねたまま、やたらと白い天井の一点を見つめていた。眩しい太陽の光が窓から嫌がらせのように僕の視界の端っこに入ってくる。今年の梅雨入りは遅いらしく、梅雨入り前の初々しくもやんちゃな初夏の太陽が空で幅をきかせている。個室で一日中寝たきりの僕が外との繋がりを感じられるようにと病院スタッフが敢えてカーテンを閉めないようにしているそうだ。閉めてくれ、と病院スタッフに訴えても、皆のらりくらりと躱しやがる。結局、毎日太陽に睨まれる。太陽も病院スタッフの一員のようだ。大きなお世話だよ、まったく。太陽が視覚的にも心理的にも眩しくて見られない。この病院を建てる時に日光の計算くらいしておくのが常識ってもんじゃないのか?いや、太陽を病院スタッフとみなしているならば計算通りというわけか。やれやれ。
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