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個室の開けっ放しのドアから僕が寝ている足元のベッドの足元まで細長い深紅の絨毯が真直ぐに敷かれ、僕の足元のベッドの足元でもう一本の深紅の絨毯を直角に継ぎ足し、ベッドに沿わせて僕の枕元のベッドの足元まで敷かれている。細長い深紅の絨毯なんて病院のどこから引っ張り出してきたんだろう。
それにしても、随分短いヴァージンロードだ。僕の人生みたいに短いヴァージンロード。おまけに途中で切れて直角に曲がっているんだ。こんなヴァージンロードの上を歩いてきて死にかけの僕と結婚式を挙げるなんて女性の気が知れないよ。いやに他人事に感じる。
ドアが開けっ放しにされているのは、少しの間一人にして欲しい、と僕がスタッフに頼んだら快諾してくれたのだが、結婚式を挙げる僕の身に何かあってもすぐ気付けるように今日はドアは開けたままで、とお願いされたからだ。
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